作業者の行動漏れ検知

製造業の工場では複数の作業員が日々ルーチンワークをこなし、数多くの製品を製造していますが、人間の行いである以上ミスは避けられず、時には作業工程の抜け漏れが重大な不具合を招く恐れがあります。そこで、生産ラインに設置されている監視カメラが保存している動画データを機械学習によって解析することで、作業員の工程ミスを認識し、製品の不具合につながる行動に対し未然にアラートを鳴らすモデルを開発しました。これは一般に「異常検知」と呼ばれるタスクです。このタスクの難しい点は動画データのうち異常、すなわち前述のような作業工程の抜け漏れに該当するデータは極めて少ないか、一切取得できない点です。従って以下の二点のアプローチから分析を行いました。

生成モデル

オートエンコーダやGANといった生成モデルは異常検知タスクにしばしば用いられます。これは正常データによって工場の映像を生成するよう学習したモデルが異常データを生成できないことから異常判定を行う手法であり、機械の故障や作業員による製品の破損など、文字通りの異常事態を検知することができます。

時系列モデル

作業工程において、一つ一つの行動は異常とは言えなくとも、行動の順序が間違っていることが製品の不具合につながる場合もあります。そのような場合、上記の生成モデルは対応することができません。そこで、映像をより低い次元の特徴量へとエンコードして時系列データとし、時系列モデルを構成することで、行動の前後関係を把握した上で異常判定を実施することができます。

関連項目