MTシステムについて

deepblueでインターン生として働いている中山です.
自分は都内の大学で統計学の研究室に所属してます.
そんな自分が大学で勉強しているMT(Mahalanobis-Taguchi)システムについて,至らぬ点もあるとは思いますが,簡単に説明したいと思います!

MTシステムとは

田口玄一博士が考案したタグチメソッドの手法の1つです.
タグチメソッドは 国内において品質工学とも呼ばれ,実験計画法から発展した技術でばらつきを小さくすることに重きを置いた方法です.田口博士はこのタグチメソッドにより,80年代のアメリカの技術停滞打破に貢献し,「アメリカを蘇らせた男」と呼ばれ,本田宗一郎,豊田英二に次ぐ日本人3人目となるアメリカ自動車殿堂入りを果たしました.

MTシステムは,タグチメソッドの中で比較的新しい手法であり, タグチ流の多変量解析法です.「M」はマハラノビス距離で知られているインドの統計学者Mahalanobisの頭文字を取ったもので,「T」は田口玄一博士の頭文字から取ったものです.

MTシステムはいくつかの手法に分かれており,診断,予測,パターン認識,検査における判定など,幅広い用途が存在します.
具体的にMTシステムには,MT法,MTA法,MTS法,TS法 ,T法 ,RT法など様々な手法があり,ここではMT法,T法 ,RT法 について以下に簡単に説明したいと思います.もう少し詳しい内容については,後日改めてブログを書きます.


MT法

MT法をざっくり言うと,『正常なデータのみ調べて,近いときは" 正常 ",離れているときは"異常"と判断する手法』です!

MT法は,MTシステムの初期に生まれた手法です.
主な目的は異常判定を行うことで,製造現場における異常判定などで用いられ,効果を発揮しています.

特徴

MT法の特徴は,単位空間( 正常な集団のこと )を用いて異常の検知を行っている点です.これは正常な群(良品群)が1つの群をなすが,異常な群(不良品群)が群をなさないだろうという考えに基づいています.

手順

  1. データの標準化
  2. 相関係数行列の算出
  3. 相関係数行列の逆行列計算
  4. 調べたいデータの標準化
  5. 調べたいデータのマハラノビス距離計算
  6. 正常異常判定

簡素に書くと,このような手順でMT法を行います.
ここで出てくるマハラノビス距離とは,相関を考慮したデータの距離のことです.ちなみに,一般的に使われているデータ間の距離はユークリッド距離と言います.


T法

T法をざっくり言うと,『多重共線性の問題がなく,小標本データでも機能する 単回帰を足し合わせた様な回帰手法』です!

T法は,先ほど紹介した異常検知手法であるMT法とは異なり,MTシステムの回帰手法です.また他の手法と異なり,MTシステムでは目的変数を出力,説明変数を項目と表現します.

特徴

T法の特徴は以下の通りです.

  • サンプルサイズ<項目数 でも機能
  • 多重共線性の問題がない
  • 計算が簡便

この2つについて簡単に説明します.
1つ目についてです.例えば,重回帰分析ではサンプルサイズが項目数より小さいとき,逆行列の計算ができないという問題があります.しかし,T法ではそういった問題が起こりません.
次に,項目間の相関が大きいと,多重共線性が生じ計算がうまくできないという問題があります.しかし,T法では項目間の相関を考慮していないので計算を行うことが可能です.
最後の計算についてですが,SN比などといった馴染みのない値も計算に用いるので,計算手順についてはまた後日記事を書こうと思います.


RT法

RT法をざっくり言うと,『正常なデータのみ調べて,近いときは" 正常 ",離れているときは"異常"と判断する手法』です!

はい,MT法と全く同じことを書いてしまいました笑.RT法はMT法と似ている手法なので,同じ説明を書きました.RT法は,Recognition Taguchiの略で認識に重きが置かれています.これは田口博士が,文字認識を意図して提案されたことによります.

特徴

RT法の特徴や,MT法と比較して何が違うのか,以下の3点等が挙げられます.

  • サンプルサイズ<項目数の時でも機能
  • 文字認識に適用が可能
  • 計算コストが小さい

まず,1つ目についてですが,MT法ではサンプルサイズ>項目数という制限がありましたが,RT法には存在しないのでMT法で計算できないときにも計算を行うことができます.
次に,文字認識への適用です.RT法ではMT法とは異なり文字の認識を行うことができます.
最後に計算コストが小さいことです.MT法同様計算のコストが小さいので,素早く計算を行えます.

詳しい内容についてはまた記事を書きます.

まとめ

これで,MTシステムについての記事はおしまいです.MTシステムの概要についてだったため,数式やコードを載せなかったため非常に見づらくなってしまい申し訳ないです.詳細はまた書くのでそちらをご覧ください.

参考文献

永田靖(2013):MTシステムの諸問題と改良手法 ,応用統計学,42(3),pp.93-119.
立林和夫(2004):『 入門タグチメソッド 』,日科技連出版社.
立林和夫・長谷川良子・手島昌一(2008):『 入門MTシステム 』,日科技連出版社.